【サッカー】コンサドーレ札幌 新アンカーとして宮澤裕樹が発揮した数字では表わせない凄み

動きはダイナミックで繊細。サッカーIQの高さを証明した。

[J1リーグ・6節]札幌 2-1 FC東京/4月8日(土)/札幌ド
 
 首都クラブに逆転勝ちを収めた試合で、札幌の(采配を振るった四方田修平監督も含め)選手たちの奮闘は凄まじかった。シュート数の差(札幌は20本、FC東京は8本)を机上に載せずとも、「圧倒した」と表現して過言ではないだろう。
 
 42分に同点弾を決めたジュリーニョ、正確無比な左足でCKからお膳立てをした福森晃斗、59分に逆転弾を沈めた都倉賢、ベテランらしい沈着冷静さで歓喜の瞬間をアシストした兵藤慎剛
 
 それらと比較するのであれば、宮澤裕樹は平凡な記録を残しただけなのかもしれない。ゴールを挙げていない。アシストもつかない。「フルタイム出場、シュート1本、走行距離11.473km、スプリント回数15」というスタッツが目に入るだけ。
 
 だが、これはあくまで数字上の話だ。左膝前十字靭帯断裂、左膝内側半月板損傷、左膝外側半月板損傷という大怪我を負った深井一希に代わって、アンカーに起用された宮澤は、まるで「適性ポジジョンはここだ」と言わんばかりのパフォーマンスを披露した。
 
 恐れずに言いたい。マン・オブ・ザ・マッチは、キャプテンマークを巻いた男だった。10番を背負う男だった。敵の急所を射抜くキラーパスを、ネットを豪快に揺らすシュートを、驚愕する身体能力を、ボールホルダーをなぎ倒すような強烈な寄せを、そのどれも持っていない男が90分のなかで最も輝いていた。
 
 3-5-2の布陣で、中央にドンと構えている。バランスを崩さぬように、気の利いたポジショニングを取り続ける。自身のすぐ前にいるふたり(兵藤、荒野拓馬)と両ウイングバック田中雄大早坂良太)と連動してボールを刈る。単独でアタックして奪取する。
 
 攻撃時には、スペースに常に顔を出して最終ラインのパスの受けどころとなった。ボールを持てば相手の寄せに決して屈せず、左右に散らし、縦に通した。リズムを作り、味方が気持ち良くプレーできるような配慮も忘れない。
 
 もちろん、細かなミスは散見された。それは、「重箱の隅をつつくような」指摘でしかない。立ち姿は頼もしく、動きはダイナミックであり、また繊細だった。判断力に優れ、サッカーIQの高さを証明した。

「しっかりと堅く守ってからカウンターを狙おうというプランだった。先に失点したことで崩れかけはしたが、その後にそこまでバタバタせずに、しっかりと守備ブロックを構築して攻撃に移れた。確かに怪我人は多い。でも、残っている選手でチームコンセプト通りに戦えている。
 
 僕はもっと動きたがり。本当は攻撃でも守備でももっと様々な場所に顔を出したい。でも、あんまり動き回らずに真ん中にいてくれと指示を受けていたので。運動量的には“らしさ”を出せなかったかな、と。
 
 ただ、何本かサイドに散らすこともできたし、ビルドアップも助けられた。難しい時間帯でもうちょっとゲームを落ち着かせられれば良かったですけど……」
 
 スライドして入ったアンカーをこなし切った安堵か。それともホームで今季2勝目を挙げた喜びか。記者に囲まれた宮澤は、ほんの少しの時間だけ微笑を浮かべると、反省も込めながら試合を振り返り、担った役割を解説。同時に、ディフェンス面でも手応えを掴んだことを明かした。
 
「上手く両ウイングバックがパスコースを限定してくれていたので、狙いどころがハッキリとしてボールを奪えていたのはある。本当は周囲と連係を取って、人数を掛けて奪い切るタイプだけど、1対1のシーンでも奪取できた。あれは自分の自信になる」
 
 選手の位置取りなどからプレーを先読みしてカットする。その読みの良さに加えて、飛び出してガツンと身体を当ててマイボールにする。そんなプレーも幾度か見せられた。
 
「球際でもっと力強くなりたい。今日は(深井の代わりに)スライドしたポジションで少し戸惑いながらの面もあったけど、次はより良くなると思う」
 
 言葉には自信が溢れていた。札幌の宮澤裕樹――。今はまだ、J1に昇格したクラブの「10番で主将」というだけ、それが大方の認識なのかもしれない。だが、それ以上の付加価値を求めてしまう。FC東京戦でのプレーには、それだけの眩さがあった。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170410-00024438-sdigestw-socc&p=2