【詐欺注意】街を「特殊詐欺専門」のバイク便が疾走している それでも摘発が追いつかない現実

ファクスやメールでは送れない重要書類を素早く届けるバイク便。この利便性を逆手に取り、特殊詐欺の「受け子」として悪用されるケースが急増している。
平成28年に受け子にバイク便が使われたケースは警視庁管内だけで前年比3倍に増加。
特殊詐欺を専門に請け負う「専門業者」も登場した。摘発はまったく追いついておらず、警察当局は悪質業者の締め出しに規制当局との連携強化も検討している。

都内のマンション一室。バイク便業者の事務所に踏み込んだ警視庁捜査2課の捜査員らを迎えたのは、ドアスコープに隠された防犯カメラだった。
捜査関係者は「特殊詐欺のアジトのような厳戒態勢だった」と振り返る。配送伝票などはすべてシュレッダーにかけられており、証拠隠滅も徹底されていた。
この業者は28年3月に関東運輸局にバイク便業者の届け出をして以降、少なくとも30件、計約8千万円の特殊詐欺事件で受け子に使われたとみられる。

捜査2課は特殊詐欺での利用が確認されるたび、業者に対して再三警告。
この業者はホームページにも「現金や有価証券などの配達はお断りしております」と記載していたが、捜査2課は警告後も被害金の運搬を続けていたとみて、特殊詐欺の共犯として詐欺容疑で経営者らを逮捕した。

警視庁によると、28年に確認された都内の特殊詐欺被害件数は全国の約1割の2032件で、被害者から現金を直接受け取る被害は72%に当たる1459件。
このうち、受け子にバイク便が使われたのは242回と、27年の83回の3倍近くに増えた。
捜査関係者は「特に詐欺専門とみられるバイク便業者が使われたのは27年の7倍。バイク便が使われた詐欺全体の大半を占めるまでになっている」と警鐘を鳴らす。

特殊詐欺になぜバイク便が利用されるのか。捜査関係者は「バイク便業者であれば、路上で現金の受け渡しをしても怪しまれない」と指摘。
「さらに現金の受け取り現場を警察に押さえられたとしても、『客に頼まれただけ。
詐欺とは知らなかった』と言い張れば、共犯に問われにくい」と分析する。こうした利点を活用しているのはバイク便だけではない。
詐欺電話をかけるために犯人グループが使用するレンタル携帯業者でも同じ仕組みが取られている。

ドコモやソフトバンク、AUといったキャリアから借りた携帯を、いくつものレンタル業者が「又貸し」としていくことで責任の所在をあいまいにし、詐欺グループに電話を供給している。
捜査幹部は「詐欺グループを構成する正業を装ったこうした業者を次々と摘発し、営業できない状態に追い込むことで、詐欺被害を減らしていきたい」と話した。

警察当局はバイク便業者の悪用が目立ち始めた27年以降、業界団体に働きかけるなどして、特殊詐欺排除の対策も進めてきた。
警視庁は28年12月、都内を中心としたバイク便業者でつくる「バイク便協同組合」(東京都中央区)と覚書を締結した。
覚書には高齢者から路上で荷物を受け取らないことや、荷物を受け取る際に現金でないか確認することなどが盛り込まれた。

国土交通省も対策に乗り出し、28年11月には、特殊詐欺の現金を運搬したとして、警視庁から家宅捜索を受けた都内の別のバイク便業者を立ち入り監査。
今年2月、運転手の健康診断記録を適切に保存していなかったとして、貨物自動車運送事業法違反で、バイク1台を90日間使用停止にする初の行政処分を下した。

特殊詐欺に特化したバイク便業者は他にもあるとみられており、捜査幹部は「特殊詐欺に加担する悪質業者の排除には、あらゆる手段を有効活用することが必要だ」としている。

配信 4/10(月) 10:52配信

産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170410-00000506-san-soci
http://www.sankei.com/premium/news/170410/prm1704100005-n1.html

参考ニュース
詐欺などの疑いで逮捕のバイク便会社経営者ら、不起訴処分
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3022413.html