【古賀茂明】日本人が、安倍政権の怖さに気づくのは、北朝鮮との戦争で日本の国土が戦場と化し死傷者を出すときまで待たなければならない

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170409-00000029-sasahi-int

 北朝鮮と中東における緊張が急激に高まっているが、日本人が、戦後初めて戦争に巻き込まれる危機が、すぐそこまで迫っているということに、どれだけの人が気付いているだろうか。

 北朝鮮が頻繁にミサイル発射実験を行い、「射程距離を延ばした」「一度に何発も同時発射した」「移動式発射装置が多用されている」「潜水艦からの発射技術が格段に向上した」「北朝鮮在日米軍基地攻撃を明言した」「把握が難しい移動式発射装置や潜水艦から、一度に数発発射されては、日米の迎撃体制でも対応しきれない」という報道が続いている。

 しかし、「危機」という言葉が報じられる一方で、国民に本当の「危機感」が広がっているようには見えない。その原因はどこにあるのだろうか。

 昨年、米国大統領選で、ドナルド・トランプ氏が勝利すると、マスコミは、「トランプは日本の防衛に責任を持ってくれないかもしれない」「在日米軍経費をもっと負担しろと言ってくるに違いない」などと報道をして、国民の不安を煽った。官邸が流す情報をその注文通りに垂れ流したのだ。

 大統領選が終わると、安倍総理は、ゴルフクラブをお土産にして、真っ先に「ご挨拶」に訪れ、年明けにも世界の嘲笑を浴びながら、トランプ氏へのおべっか外交で得点稼ぎを試みた。

 トランプ氏の「日本を100%守る」という言葉を引き出し、安倍官邸は、「大成果」だと喧伝した。

中略

 私はマスコミが、「今は戦時。国民が一致団結することが大事。政権批判は、北朝鮮を利するだけだ」という論調を展開し、国民も漫然とそれに従うことを心配している。

 しかし、ひとたび参戦すれば、日本は、まさに、米国と並び北朝鮮の敵となり、在日米軍基地だけでなく、日本全土の原発や東京などの大都会が攻撃されることになる。

 先制攻撃でミサイル基地を全滅させればよいという主張もあるが、北朝鮮のミサイル技術は進歩している。一度に4発のミサイルを移動式発射台から同時に撃つ能力も誇示したし、潜水艦からのミサイル発射もできる。マレーシアで、白昼堂々金正男氏をVXガスで殺害したのは、戦争にVXを使用すると宣言したとも理解できる。VXガス搭載ミサイルが何十発も飛んでくることを覚悟するべきだろう。もし、何十発かのミサイルのうちの数発でも撃ち損じれば、国内の犠牲者数は数千人単位になるかもしれない。

 日米韓が協力し、ロシア、中国が北朝鮮を支援しなければ、日米韓連合軍が北朝鮮に勝つことは確実かもしれない。しかし、数千の犠牲者を出して、「勝った、勝った」と喜べるのだろうか。

 もちろん、北朝鮮を米国が攻撃するのは、そう簡単な決断ではない。中国やロシアが反対するのは確実だし、韓国も大きな被害を受ける。韓国や日本の米軍基地の被害も覚悟しなければならない。

 そう考えれば、今すぐにもこうした事態が生じるとは考えにくい。しかしそれでも、予測不能なのが、トランプ氏である。最悪のシナリオは想定しておくべきだろう。

 いずれにしても、日本人が、本当に安倍政権の対米追随路線の怖さに気づくのは、やはり、前述した北朝鮮とのミサイル戦争に巻き込まれて、日本の国土が戦場と化し、数千人の死傷者を出すときまで待たなければならないのかもしれない。

 そういう事態になって、初めて日本の国民は気づく。

――あの時、日本は米国を止めるべきだった。中ロと協力してでも、北朝鮮との戦争を止めて欲しかった――と。

 そして、私たちは、次のような疑問に突き当たるだろう。

 日米安保条約在日米軍基地があるから日本の安全が守られるというのは間違いだったのではないか。日米安保条約在日米軍基地があったからこそ、日本が無用な戦争に巻き込まれることになったのではないか。

――政治の役割は二つある。一つは、国民を飢えさせないこと。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争しないこと――

 これは、菅原文太さんが亡くなる約4週間前に沖縄で行った最後のスピーチの有名な一節だ。

 今、日本人は、この言葉をかみしめて、日本が進むべき道について、根本から考え直すべきではないだろうか。(文/古賀茂明) </div