【佐賀新聞/論説】北朝鮮への武力行使は事態を複雑にし、アジアを不安定化する。武力衝突は避け、平和的な話し合いで解決を[04/11]

米中首脳会談
冷静な対話通じ成果を

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は米南部で首脳会談を行い、北朝鮮の核開発抑制に向けて協力を強化し、米中間の貿易不均衡問題を解決するために対話を強化していくことなどで一致した。1月のトランプ政権発足後、両首脳の会談は初めて。

トランプ氏は貿易問題で中国を厳しく批判し、一時は台湾寄りの姿勢を見せて米中関係が冷え込んだが、今会談で良好な両国関係づくりに向けて努力する方針を確認した。トランプ氏の年内訪中にも合意した。

国際社会で大きな責任を持つ二大国の協調は歓迎するが、北朝鮮などの問題で、具体的に何ができるのかは見えてこない。トランプ氏の単独行動主義、習氏の内外への強硬な政治姿勢に対する懸念も大きい。米中両国は一国主義に走らず、冷静な対話を通じて成果を積み重ね、世界とアジアの平和と安定のために貢献してほしい。

両首脳は会談で、北朝鮮の核開発は「深刻な段階に達した」との認識で一致し、協調して朝鮮半島の非核化を目指す姿勢をアピールした。トランプ氏は会談の初日、米軍にシリア攻撃を命令し、北朝鮮に対する圧力の強化に消極的な中国をけん制した。

中国側は会談で、シリア攻撃に理解を示したが、北朝鮮への圧力強化には同意しなかった。中国は従来、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議を厳格に履行しているとしつつ、北朝鮮を完全に追い詰めるのは得策ではないとの立場だ。

北朝鮮は国際社会を挑発するようにミサイル発射を繰り返し、6回目の核実験を準備中との見方も出る。米中両国はかたくなな北朝鮮を国際社会との対話の場に引き出すため真剣に協力していく必要があろう。

トランプ氏は会談で「単独行動も辞さない」との考えを習氏に伝えたが、北朝鮮への武力行使は事態を複雑にし、アジアを不安定化するだけであり、回避すべきだ。

また、トランプ氏は会談で、東・南シナ海で国際規範を守る重要性に言及し、近隣国と領有権を争う南シナ海で大規模な人工島造成を強行して軍事的プレゼンスを拡大する中国をけん制した。

習氏は会談の日にシリア攻撃を知り、米国の強大な軍事力は中国にとっても脅威であることを改めて深く認識したに違いない。中国は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備にも強く反対してきた。

その一方で、中国は南部戦区司令官に海軍出身者を抜てきするなど南シナ海防衛に力を入れる。米中両国は南シナ海問題でもせめぎ合いを続けそうだが、武力衝突は避け、平和的な話し合いで解決を図ることが重要だ。

首脳会談では、貿易不均衡解決のための「100日計画」の策定にも合意した。米国の対中輸出を増やし、貿易赤字を削減する狙い。ただ、この計画で全てが解決できるわけではなく、長期的な取り組みが必要なことは言うまでもない。

このほか、米中間には、中国の人権問題、サイバーセキュリティー、温室効果ガスの二大排出国としての温暖化対策など、さまざまな問題がある。首脳会談では、新たな対話枠組みの設置で合意した。粘り強い広範な対話によって安定した米中関係を築き、国際社会に貢献してほしい。(共同通信・森保裕)

ソース:佐賀新聞 2017年04月11日 05時00分
http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/420767
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