【愛媛新聞/社説】軍事力行使をちらつかせるやり方は解決の障害、北朝鮮を刺激して容認できない。平和的解決へ対話を求める[04/11]

米中首脳会談 「北朝鮮核」解決へ対話と協調を

トランプ米政権が発足して、初めての米中首脳会談が終わった。主要議題だった北朝鮮の核開発に対して「深刻な段階に達した」との認識は一致。トランプ大統領は「大きな進展があった」と評価したが、北朝鮮が6回目の核実験を準備しているとされる中、非核化の具体策は示せず、十分な成果はなかった。「素晴らしい関係を築ける」とした今回の会談をスタートラインとし、協調して問題解決に取り組まねばなるまい。

トランプ氏は、北朝鮮の核開発阻止へ「中国の協力が得られなければ単独行動も辞さない」と習近平国家主席に圧力をかけた。「単独行動」との表現で軍事力行使をちらつかせるやり方は、解決の障害になりかねないとともに、北朝鮮を刺激する恐れがあり容認できない。平和的解決へ関係国との対話を進めることこそ求めたい。

トランプ氏は会談中、シリアへのミサイル攻撃を実施した。中国側に強い姿勢を見せつけ、北朝鮮への圧力強化を求めたのは明らかだ。その後も、米国家安全保障会議(NSC)が韓国への戦術核再配備を提案したと伝えられ、米海軍は空母打撃群を朝鮮半島方面へ向かわせた。いたずらに緊張感を高めるのは看過できない。

一方、中国側は内向きの事情を優先させ「協力」を約束しなかった。習氏は今年後半に共産党大会を控えている。会談で米国が求めたとみられる北朝鮮への石油禁輸などを受け入れれば「弱腰」と受け取られ、党内基盤が揺るぎかねない。また、北朝鮮への制裁を強化すれば、反発した北朝鮮が「暴走」する可能性もある。軍事的衝突や難民流入などの被害を恐れて、課題を先送りするが、このまま、国内事情にばかりとらわれていては、解決への道のりは遠いと肝に銘じる必要がある。

北朝鮮の核開発放棄を目指す日米中韓ロに北朝鮮を加えた6カ国協議も、2008年の開催を最後に中断したままだ。両国は自国の利益のみを追うのではなく、国際社会の安定へ関係諸国を交えた解決への枠組みをつくり、大国の責任を果たさねばならない。

軍事力を背景に東・南シナ海へ進出し、影響力を強める中国の動きに、トランプ氏が国際規範を守るようけん制したのは当然だ。関係国と中国の間には、偶発的衝突が起こりかねない状況がある。中国は膨張主義を排し、自制しなければならない。

米中会談を受けて、安倍晋三首相はトランプ氏と電話会談を行い、両国の北朝鮮問題協議や米軍によるシリア攻撃を「高く評価する」と伝えた。外交安保で「対米追従」の姿勢を強めるが、日本に求められているのは強硬路線支持ではなく、米中など関係国の調整役だろう。まずは、日米韓3カ国に中国を含めた協力体制の構築を急がねばならない。その役割を果たすためには、ぎくしゃくする日中、日韓関係の早期修復も必要だ。

ソース:愛媛新聞 2017年4月11日
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201704114697