【訴訟】ヤマト、未払い残業代「倍増」の可能性…裁判官が「変形労働時間制」不適切運用を指摘

ヤマト運輸の未払い残業代問題で、ヤマト側の支払い金額が大幅に増える恐れがある。
全社的に「変形労働時間制」が適切に運用されていない可能性があるからだ。
元ドライバー2人が未払い賃金をめぐり、ヤマトと争っていた労働審判の中で明らかになった。
ドライバー側の代理人弁護士によると、人によっては残業代が2?3倍になる可能性があるという。

変形労働時間制とは、労働時間を1日単位(8時間まで)ではなく、一定期間で考える手法。
ヤマトでは労使合意で、1カ月単位が採用されている。月およそ170時間(週平均40時間)を上限に、10時間、6時間、10時間…といった風に勤務時間を割り振って行く形だ。
通常10時間働けば、2時間の残業になるが、変形制で所定労働時間が10時間と決まっていれば、残業代は払わなくて良い(ただし、月の上限を超えた分などは支払い対象)。

しかし、労働審判の中で、この変形労働時間制の運用に問題があることが明らかになった。
裁判官が不適切である旨の発言(心証開示)をしたのだという。
実際、労働審判は今年3月23日に調停が成立。2人にとって、高い水準での合意になったという。

●金額はどのくらい変わるのか?

変形制が否定されると、通常通り残業代を支払わねばならない。
つまり、1日8時間を超えた労働はすべて残業代の対象となる。
たとえば、変形制で所定労働時間が10時間とされていたら、12時間働いたときの残業は2時間だ。
しかし、通常なら4時間。残業代の支払い対象が増える。

この2人の場合、労働審判では、会社側の提示額が72万円、90万円だったのに対し、3倍以上の301万円と276万円を要求。
正確な数字は公表していないが、高い水準で主張が通ったとしている。
穂積弁護士によると、金額の開きは、基本賃金の評価と、変形労働時間制であるかどうかの部分だ。

元ドライバーの代理人・穂積匡史弁護士によると、「変形労働時間制は本来、業務時間を減らすための制度。趣旨に反した運用がなされていたということだ」と説明する。

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