【テレビ】芸人コメンテーター「うす~い意見」に茂木氏、上杉氏の見解

 女優・清水富美加が「幸福の科学」に出家するために事務所を離脱した騒動を報じる『ビビット』(TBS系・2月15日放送)で、ある出演者はこう口にした。

「働き方が妥当だったかどうかだと思う。不当な働き方をさせられていて、こういう辞め方をするのは普通。でも、ちゃんとしていたのであれば、この辞め方は非常に問題がある」

 旅行会社てるみくらぶの破綻問題を取り上げる『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系・3月29日放送)では、ある出演者はこう語った。

「払うべきところを払っていなくて、お客さんにどうぞいってらっしゃいと言ってるわけですから、ある意味これは騙したってことになるわけじゃないですか」

 各局のワイドショーを騒がせた「森友学園」問題に関する昭恵夫人の寄付金疑惑について『ワイドナショー』(フジ系・3月19日)で、こんな発言があった。

「昭恵さんも、なんか微妙な言い方ですよね。『記憶にない』って言い方って、なんか非常に危ないなあ」

 どれも全く当たり障りがなく、言っても言わなくてもいいような“フツーの感想”ばかり。意外なことに発言者は、オリエンタルラジオ中田敦彦カンニング竹山ダウンタウン松本人志という売れっ子芸人たちなのだ。

 情報番組やワイドショーで、お笑い芸人のコメンテーター起用が増えている。他にも、弁護士や医者などさまざまな立場の人たちが出演しているが、総じてもっともらしく語りながら、毒にも薬にもならず、笑いも起きない「スッカスカな話」ばかりである。

 そもそも、ニュースを扱う番組で、専門家でもない人たちの“うす~い意見”を視聴者はなぜ聞かされなきゃならないのか。

〈トランプやバノンは無茶苦茶だが、SNLを始めとするレイトショーでコメディアンたちが徹底抗戦し、視聴者数もうなぎのぼりの様子に胸が熱くなる。一方、日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止(原文ママ)し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン〉(オワコンとは「終わったコンテンツ」の略)

 ツイッターでそう呟いた脳科学者の茂木健一郎氏に対し、「センスがない」(松本人志)など猛バッシングが浴びせられた。

 しかし、多くの情報番組での芸人のコメントを聞けば、茂木氏の指摘に「その通り」とうなずく読者も多いのではないか。当の茂木氏はこう言う。

「松本さんとの間では、お笑いのセンスの話になりましたが、元のツイートは削除していませんし、今でも考えは変わっていません。

 トランプ大統領が就任して以来、アメリカのテレビ番組では大統領令などに対してもコメディアンたちが徹底抗戦して人気を集めている。それを見て、日本と全然違うなと思ったわけです。

 日本の芸人さんたちは空気を読みすぎて体制順応型になっていて、そうしないと干されると思っている。ワイドショーでも井戸端会議レベルの話に終始して、権力者から目をそらしているように見えます」

 茂木氏を批判した芸人のなかには、「政治風刺など簡単」と豪語する者もいたが、実際にテレビに出て話しているのは、ニュース映像の間を埋める、“つなぎコメント”ばかりなのである。

 ネット番組「ニューズオプエド」のプロデューサー・アンカーを務めるメディアアナリスト上杉隆氏は、茂木氏の意見に同意する。

「海外のテレビ放送では、社会の常識を疑ったり、権力に厳しい姿勢をとったりして価値観を乱す『価値紊乱』の役割を、アーティストやコメディアン、ジャーナリストが担っている。価値紊乱の突破口を開くのは芸人のはずなのに、権力にすり寄り、モラルを語るようになったら終わりです」


NEWS ポストセブン 4/10(月) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170410-00000004-pseven-ent